フランス手話でご挨拶2~食欲の秋だもの~
芸術・スポーツ・そして食欲の秋。各地の展覧会情報に心躍り、テレビで放映されるサッカーやバレーボールの試合に手に汗握り、秋の味覚に我を忘れて手を伸ばす。
ヨーロッパでも収穫祭が続くこの時期。フランスでは9月10日、3年振りにメドックマラソンが開催され、画面越しとはいえスタート地点に集まる多くの人々の熱気に圧倒された。お目当てのワインを頂けることに加え、外で思い切り身体を動かせるようになったことは喜ばしい。今頃はジビエ料理がメニューに上り始めたことだろう。コロブリエールの栗祭りは10月16日、パリのサロン・デュ・ショコラは10月28日~11月1日、楽しみなイベントが目白押しだ。行かないけど。
フランスに行って、どうしても食べたい!飲みたい!という欲求を手話で伝える場面を想定して、飲食に関する手話をいくつかご紹介。
「J’ai faim:お腹が空いています」。
人差し指で自分の胸を差し(Je)、Cの形にした手を、指が上を向くように胸に当て、お腹の方へ1回すぅ~っと下ろします(faim)。表情はそのときの空腹状態を訴えるような感じで。
「C’est bon!:美味しい!」。
口元でつぼめた指を、ふわ~っと開きます。蕾が開花するイメージ。これは味に関してのみ使用されるため、人や物の状態を表す『bon:良い』は別の手話表現となります。
「J’ai soif:喉が渇いています」。
Jeは同上。物をつまむように人差し指と親指をくっつけ、中指・薬指・小指は立てます。その形のまま、人差し指と親指が上を向くように喉元に当て、前方へすっと伸ばします(soif)。
「Je voudrais manger(boire) quelque chose:何か食べたい(飲みたい)」の場合は、以下のようにします。
Jeは同上。両手の指を全て軽く曲げ(猛獣の爪を表現するときのような形)、掌を上に向け、両手同時に下へ1回下げます(voudrais)。
mangerは、くちばしのようにした指(>の形)の親指を他の指にくっつけ、口に入れるようなしぐさをします。
boireは、げんこつから親指だけを立て(いいね!などに使われている形)、グラスを傾けるように親指を口元に1回動かします。
quelque choseは、両手の人差し指同士をぶつけるような動作をします(映画『ET』の有名なシーンを1人でやる感じ?)。
ちなみに、お店などで注文するときの「Je voudrais ●●●, s’il vous plait:●●●をください」の場合も、Jeと voudraisの表現は同上。s’il vous plaitは、親指を曲げ他の4本指をくっつけた形にし、掌を相手に見せた状態で頬に当て、上から下へ滑らせます。
例えば、「Je voudrais un cafe,s’il vous plait:コーヒー(この場合、エスプレッソ)をください」のときは、前述の表現にコーヒーの表現を加えればOKです。
cafeは、右手の親指と小指を立て人差し指・中指・薬指を曲げた形に、左手をげんこつの形にし、左手下・右手上にして重ね、右手を左手の上で回すように動かします(コーヒーミルを回すイメージ)。
「Je voudrais un verre de vin, s’il vous plait:ワインを一杯ください」なら、ピースサインにした指で頬を2回叩き(vin)、全ての指をくっつけ小指を身体側にして掌を上に向けた左手の上に、Cの形にして指を身体側に向けた右手を乗せ、右手だけを喉元へ上げます(verre)。『verre:ガラス』もbonのときと同じで、製品ではなく物質を表す場合は別の手話表現となります。
●●●の手話表現が分からない場合は、アルファベットで単語を伝えれば大丈夫!
さあ、フランスでも食欲の秋を満喫しよう(私は行かないけど……)!