海外旅行の誘惑

観光客の受け入れが更に緩和された。日本を訪れたいと思う外国人と同様に、そろそろ海外へ出掛けたいと思う今日この頃(コロナ前からずいぶん長いこと日本を出ていないけど)。
どうせならヨーロッパがいい。できれば1週間は現地で過ごしたいものだ。今の仕事は夏休みがないし、長期休暇が取りにくい(取らせてもらえないのではなく、毎週程よく仕事がある)ため、カレンダーを眺めては、一番長く休みが取れそうな日は……と頭をひねっている。2023年は、祝日が週末とかぶってる日が何日かあるからなぁ~(溜息)。

もっぱら個人旅行、旅先の風景を写真に収めるために時間の大半を費やす私にとって、宿や食事は二の次だった。特に1人で摂る食事は全くもって味気ない。フランスだったらビストロやレストランでもゆっくりできるようになったけれど、他の国々では言葉と人見知りの壁が立ちはだかる。よく知らない土地では治安も気になる。
バルセロナでは、ディナーの候補として、パエリアやホタルイカが美味しいというお店へ行こうと思っていた。有難いことに、フランス語がときどき通じていたので、ちょっと油断していた。地下鉄の改札に係員がいないため、どうやって中へ入るの?と思っていたら、切符を持たない若者が柵を乗り越えてホームへ入って行った。え、そういうものなの?と躊躇していたところ、中から出てきた女性が、
「切符を持っているなら、そのまま入って大丈夫よ。でも、危ないから暗いところには行かないのよ!」
と教えてくれた。ホームの中、暗いんですけど?!すっかり怖気づいてしまい、地下鉄に乗ることは諦めた。
モスクワでは、ガルショーク(壺焼き)を食べたいと思い、調べたところお店へは地下鉄で出られるようだった(また地下鉄!)。深いとは聞いていたが、延々と下へ続く。東京の大江戸線・六本木駅よりも深かったと思う。まだ続くの?という疑問や、周囲のロシア人が喋らず眉間にしわを寄せて降りていく姿に、不安が募った。どうやら、冬場は外であまり話をしないらしい(確かに、息も凍りそうな寒さには顔をしかめたくもなるよね……)。ホームが美しいってことだったからついでに写真でも、と思ったけれど、ガルショークだったら宿の近くのお店にもあるかな?と思い直し、引き返してしまった。のちに、モスクワの地下鉄のホームはエルミタージュ美術館の一室か?というほど凝った装飾を施していると知り、引き返したことをめちゃくちゃ後悔したのだけれど。そういう訳で、私は様々なヘタレ理由から調べたお店での食事をやめ、出来合いの料理を宿泊先の部屋でもくもくと口に運ぶことがしばしばあった。
そんな私でも、意を決してお店に出向いたことがある。プラハには“ウ・ドゥヴォ・コチェク(二匹の猫)”というビアホールがあり、店の内外壁や店内のオブジェ、ランチョンマットなどに猫が描かれている。昼間は街中でひたすら撮影に勤しんでいたため、訪れたのは夜になってしまった。見知らぬプラハの街、しかも夜道は通りの名前などが見えにくく、迷いに迷いながら歩き回った。もうやめちゃおうかしら、とヘタレ根性が顔をのぞかせたが、どうしても猫たちに会っておかねば!という一心から足を棒にし、やっとのことで辿り着いた。外は勝手に撮ってしまったが、店内の撮影に関しては店員さんに許可をいただいた。とはいえ、他のお客さんもいるから、なりふり構わず撮れるほどハートは強くない。1人だから、貴重品を置いて席を離れるわけにもいかず、荷物を抱えながらそそくさと撮影を済ませた。ランチョンマットはいただけるということだったのでお持ち帰り。グッズもあると聞いていたのだが、店員さんに尋ねたところ、「ない」との返事が。たぶん、私の聞き方が正しくなかったんだろうな(泣)。仕方なく、ここでは軽く1杯だけにして、2軒目へ。お店の名前は忘れてしまったが、黒ビールとポーク料理を頼んだ記憶がある。10㎝四方のゴロンとしたジョッキになみなみと注がれたビールと、クネドリーキ(茹でたパン)やマッシュポテトが添えられたたっぷりの一皿。当時の私より少し年上のカップルと相席で、ビールと料理が運ばれてきた時にちょっとだけ目で会話した。
私:(お皿を持ちながら)「すごい量!」と言いたげにカップルに向けて目を見開く。
カップル:「美味しいよ!」とでも言うように眉をヒクヒクさせてにっこり。
……1軒目のお店のこともあって通じないかも知れないけど、私、言葉にせんか~いっ!
ポーランドでは、ランチで何店かを訪れた。日本人の口にも合うお料理だったと思う。ピエロギは餃子みたいだし、スープなどもお肉や野菜の味を活かすような素朴な味付けだったので、胃にも優しかった。それに、みんな親切で、穏やかな性格の人が多かった。言葉が通じなくても根気よく相手してくれたし、私が「美味しい!」と言ったときにはすごく嬉しそうに笑っていた。

宿に関しては、街の散策がしやすい立地から選ぶことが多かった。ほとんど外で過ごすのだから、有名なホテルチェーンなどの広くて豪華な部屋は必要ない。小さな村などでゆっくり過ごす場合は、フランスならシャンブルドット、イギリスならB&Bを選びたい。温かくて寛いだ空気を感じられるので、人見知りでもホストの方や宿泊客の方々と話しやすい。
イギリスの湖水地方で泊まったB&Bは、クッションやベッドカバー、ランプシェードがお手製らしく、可愛らしい内装だった。朝食の温かいトマトや豆料理、手作りジャムについて説明を受けたり、近隣で景観の良い場所をホストの方から教えていただいたりした。
フランスに滞在していた頃知り合ったメグミちゃんは、日仏ご夫妻が営むシャンブルドットのことを知り、街を訪れたそうだ。鶴田真由さん似の奥様は、お料理が上手で、旦那様と仲良し。素敵なご夫婦だった。私も彼らのお宅にお邪魔させてもらったことがあるが、室内では日本式に靴を脱ぐようになっていた。日本語が通じる心強さもあり、日本からの宿泊客が多いのも頷ける。ご夫妻のシャンブルドットについて調べてみたのだが、実は宿の名前や旦那様の苗字を知らないため、検索できなかった。その代わり、最近では日仏カップルのシャンブルドットも増えているみたいで、他の方々の情報がヒットした。日仏のご家庭での民泊を検討する場合、探すのはそう難しいことではなさそうだ。
かつてはFAXなどで宿を予約していたが、今はネット予約が当たり前になっているから、日本のガイドブック以外でフランスの宿を探すとき、『ジット・ド・フランス』(色んなスタイルのシャンブルドットが登録されていて、フランスの空港や駅の売店などにはガイドブックがある)や、『ロジ・ド・フランス』(食事つきの宿で、小さな村や町の宿も登録されている)など、覗いてみると面白いかも。口コミでは当たり外れがあるようだったし、登録件数が多いので、参考程度に。

こんなことをしていたら、ますます海外旅行に行きたくなってしまった!
フランス語や英語から離れてしまっているけど、まだ1人旅できるかしら……?

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