ある日、冷蔵庫が壊れた?!

現在、我が家の室温33.6℃。外とあまり変わらない。
90°くらいしか首振りしないファンと、今年需要が高まっている冷感ネックリングで暑さをしのぎ、これを書いている。エアコンがないわけではない。一度スイッチを入れたら耳障りな音がしたので、慌てて消したのだ。
かつて実家のエアコンが水漏れし、修理に来て頂いた際、原因がGによるものと判明したことがあった。もし今回の音の原因がヤツによるものだったら?と想像してしまったものだから、フィルターを確認する勇気がない。イヤだ。怖いよ~(泣)。
修理の人を呼ぶとして、夏真っ盛り。例年のエアコン設置・修理事情を鑑みると、はい、ただいま!と来て頂くのは難しいだろう。先週、会社の女性がエアコン故障で修理を依頼したときも、2日待たされたと言っていたし。
そんなわけで、8月を前に暑気ムンムンの室内で1人ガマン大会をしているのである。

フランスでインターンをしていたとき、ステュディオにはエアコンどころかファンもなかった。冷感ネックリングやひんやりするシートなんて便利なものも当然なかったから、ただひたすら暑さに耐えた毎日だった。それを思えば、今の状況はまだマシというものだ。
って、ここはフランスじゃないんだから、何とかできるなら何とかしなさいよ、という話ですが。
夏場のステュディオで私が唯一頼りにしていたのが、備え付けの冷蔵庫だった。ホテルのミニバーサイズ(高さ20cm程度の上段が冷凍庫、高さ45cm程度の下段が冷蔵庫)だったので、生鮮食品をちょっと買い込んだらすぐ一杯になってしまう。こう暑いと冷やしておきたいものが増えるから、私はこの小さなボックスにかなりの負荷を掛けていた。
そんなある日、食事の支度をしようとして冷蔵庫を開いたときのことである。モワンと生暖かい空気が中から溢れた。ぐたっとなった葉野菜を見て、私は慌てて取り出した。湯がいたときのように縮んで汁が出ている。他の野菜や果物もみずみずしさを失っていた。
(冷えてない……)
冷気が消え、ただの入れ物と化した冷蔵庫を前に、私は焦った。
この家でただ一つの涼み場所、もとい、鮮度維持装置が壊れた?!
そこでハッと気付いた。私、昨日アイス買ったんだった!
恐る恐る冷凍庫を開く。やはり、この扉からも冷気は感じられなかった。入れていたのはアイスだけで、中は水漏れなどなく、アイスが入った1000mlのプラスチック容器にも異常は見当たらない。だが容器を手に取った私はすぐに落胆することになる。トプン、と液体が入っている感触。
(溶けちゃってる……)
予想はしていたものの、一口も食べていないうちから形を変えてしまった、カフェオレフレーバーのアイス。
(味を確かめて大丈夫そうだったら飲んでやるっ!)
再び冷蔵庫の中を確かめる。この夏、私はタブレにハマり作り置きしていたのだが、ホロホロ感はなくなり、全体的にベシャッと水気を帯びていた。ちなみに、タブレとはクスクスのサラダで、クスクスに細かく刻んだ野菜と、レモン果汁かオリーブオイルを混ぜていただく。私はクスクスを水で戻し(冷蔵庫で半日とか1日とか掛かった記憶がある)、トマト・エシャロット・キュウリ・黒と緑のオリーブにプロヴァンス調味料(タイムやローズマリーなどのハーブを粉末状にしたもの)とレモン果汁を混ぜるのが定番だった。せっかく作っておいたのに~!
不幸中の幸いで、その数日後の週末にお肉や卵はマルシェで買おうと思っていたため、タンパク質で傷んだのはチーズくらいだった。もしすえた臭いが充満してたら更に凹んだところだったわ~(ホッ)。

中のものを処分するかどうかは後回しにして、原因を探る。もし自分で直せなかったら、修理屋さんを呼ぶことになるのかな?フランスの出張サービスは時間とかアテにならない上に高額だって聞いたからなぁ。大家さんに相談した方がいいかな?修理代とかはどうなるんだろう?
それにしても、昨日まで何の異変もなく使えていたものが、急に壊れたりする?でも、電化製品ってそういうところがあるかも。日本にいたときも、ドライヤーが突然動かなくなったり、ビデオが見られなくなったりした。そして、それらはなぜか同じタイミングで起きる。どうして時期をずらしてくれないの?出費がかさむ~!
日本での生活とは異なり、フランスでは電化製品にあまり触れてこなかったにも関わらず、短い滞在期間中に不具合が起きるというタイミングの良さ(悪さ?)。こういう運の強さはいらないんだけど……。
あれこれ考えると余計に気が重くなる。
私はもう一度冷蔵庫を調べることにした。ビショビショになったりしていないから、そんなに時間は経ってないってことだよね?詰め込み過ぎだったかな?でも、パンパンにしていたわけじゃないし。
ふと、温度調整のツマミが目に入った。
(アレ?)
ダイヤルの矢印が目盛りの端っこを差している。
ひょっとして、設定を切っているのでは?!
ツマミをひねって、矢印を目盛りの中ほどにする。しばし冷蔵庫の様子を窺ってみたところ、全体がひんやりとしてきた。
故障ではなく、単なる人為的ミス。でも、ツマミをひねった覚えはない。多分、何かの拍子に私もしくは冷蔵庫に入れようとしたモノが当たってダイヤルが動いてしまったのだろう。
大袈裟に考察までして、恥ずかしい……。
修理や交換をしなくて良くなった(そして出費もなくなった)ことに一安心したものの、食材を傷めたりダメにしてしまったことを反省する。葉野菜はゴメンナサイだけど、他のものは火を通せば大丈夫だろう!
ということで、タブレにズッキーニやとうもろこし・さやいんげん、そしてチーズを加えカレーに、アプリコットはジャムもどき(ただ煮ただけ)にした。食材を無駄にしないためではあったが、火を使うということは家の中の温度が上昇する。調理後、汗ダクダクになりながら熱いカレーを口にし、室内の暑気に耐えるハメになった自分にモヤモヤしたのだった。
そして冷凍庫で再度固めたカフェオレフレーバーのアイスはというと、翌日見事にカフェとミルクの層に分かれて固まっていた。食べてみたところ、薄味で水分少な目の、フラッペとソルベの中間のようなざらっとしたシロモノになっていた。私はクリーミーなアイスを購入したはずだったけど?

今、この時よりもあの日の方が暑かった。とはいえ、室温はさっきより上がって34.2℃。コロナ感染者数が増えているため、数日前から計測を再開した私の今朝の体温は36.1℃。体温とあまり変わらない!
こうなったら、フィルターを開いてみるしかないよね……。何も起こりませんように!

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