移り変わるイチョウ

毎月足を運んでいる神社への参拝が、88回目となった。単純計算で7年と数か月、でもこれは数え始めてからの回数なので、これより少しばかり長く通い続けていることになる。

インターンとしてフランスに滞在していたとき、被爆した柿の木の2世となる苗木を植樹するプロジェクトに、臨時通訳として携わったことがある。その際分かったのは、柿の木は長崎で被爆したということだった。のちに調べてみると、被爆樹木は他にもあり、その中でも広島のアオギリや長崎のクスノキが特に知られているようだった。
広島の被爆樹木のなかには、イチョウもあった。

神社でよく見られる樹木は、永遠や長寿を象徴するとして、常緑樹や巨木となる樹が植えられることが多い。イチョウは落葉するものの、樹齢が長く、氷河期を生き抜いたことから、不老長寿の樹と見なされているようだ。また、葉の形が末広がりであることから、富の象徴とも言われている。

私が参拝している神社のイチョウは被爆樹木ではない。これからもずっと、負の遺産になることなく在り続けて欲しい。
終戦から80年、私は日本で穏やかに暮らせているけれど、世界ではまだ戦争が起きている。どうか、どの国の誰もが、戦争の不安や恐怖を感じることなく、毎日を過ごせますように。
四季を通じて移り変わるイチョウに、そう願わずにはいられない。

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