カカオへの取り組み

チョコレートの値上がりが続いている。
カカオの国際価格は昨年から3.3倍超、今後も高値を更新すると言われている。

カカオ栽培に関する問題点として、先物取引による低価格での購入や児童労働などが取り上げられていた。そのため、国際フェアトレード基準が設けられ、「生産者が適正な対価を得られるよう、通常価格とは異なるフェアトレード価格を設定」とか、「児童労働を禁止し、生産者にとって安全な労働環境を保証」といった内容から、貧困・児童労働の解消に一助する取り組みが少しずつ広まってきた。日本でも生産国を支援するためのプロジェクトが立ち上げられ、私のように、商品やCMを通じて企業の取り組みを知ったという人もいるのではないかと思う。
※私は江崎グリコセブンイレブンフェリシモ明治森永製菓有楽製菓ロッテの取り組みを知りました。
これが追い風になればという期待を打ち砕く事態が勃発。昨年、主要生産地である西アフリカが異常気象に見舞われ、次いでカカオの木にウイルスが蔓延したのだ。このウイルスにより、4億7千万本もの木が焼き払われたそうだ。元に戻るまで最低でも6年はかかるらしい。カカオの国際価格が今後も高値を更新すると言われているのはそのためだ。

カカオの木は今までも、気候変動や病気、虫の被害を受けてきた。
カカオの病害で最も一般的なのは、水生菌によってカカオポッド(カカオの果実)にカビが繁殖し、ポッドを腐らせる‟ブラックポット”と呼ばれるもので、湿度が高い状況で蔓延しやすいそうだ。
ブラックポット以外にも、病原菌(カカオポッドを腐らせる‟モリニア病”や、枝や果実が奇形となり、果実の組織を破壊してカカオ豆を殺してしまう‟ウィッチズブルーム”など)や害虫(樹液を吸う昆虫が植物組織に損傷を与え、枝やポッドを腐らせる菌類を入らせてしまう‟カプシッド”や、幼虫がポッドに侵入し豆の発育を妨げる‟カカオポッドポーラー”など)もカカオの生育に影響を与えてきた。それでも、今回は今までにない危機的な状況となっていて、生産者はもちろん、製造者・消費者にも不安が広がっている。
フェアトレード製品で生産者を支援しましょうとか、ビーン・トゥ・バーでカカオ本来の味や香りを楽しみましょうといったことは、カカオが生産されて初めてできるのだと、当たり前のことを今更ながら実感する。

チョコレートの流通量や価格設定を保つため、原材料の一部を代替品にすることで対応するという動きも見られる。
カカオ豆からチョコレートを製造する場合、カカオニブ(豆をローストして外皮を取り除き砕いたもの)、カカオマス(カカオニブをすりつぶしてペースト状にしたもの)、ココアバター(カカオマスから圧搾した油脂分)、ココアパウダー(ココアバターを抽出したあとの塊を粉末状にしたもの)が主な原材料となる。
現在注目されているのは、ココアバターを別の植物油脂に置き換えた‟コンパウンドチョコレート”と呼ばれるもので、カカオ豆の使用量を減らしコストを抑えることで、流通が減ったり国際価格が高騰しても対応できるようにするのだそうだ。試食した人の感想では、味の違和感なく食べられたということだった。12月のクリスマス、2月のヴァレンタインには例年チョコレートの需要が高まるから、これからの季節、コンパウンドチョコを使用した製品開発が進むのかも知れない。

そういえば、先日ビスキュイ・アラン・デュカスでショコラビスキュイを作ってもらっているとき、仕上げの1つでカカオハスク(カカオの外皮)を乗せていた。確か、ポリフェノールが多く含まれているということだった。チョコレート製造では外皮を取り除くけれど、捨てられるものが利用され、消費者に届けられることで、改めて考えさせられることがある。
生産者が抱える問題やカカオの流通をちょこっとでも安定させるために、何ができるか。
先述した、生産国支援を実施している企業のチョコレート商品を購入すると、売上の一部が支援活動に役立てられる。企業のHPでは、取り組み状況や集まった金額などが確認でき、支援拡大のキャンペーン情報なども得られる。
いつもカカオ製品を美味しくいただいている身として、何かしらの形で生産者を応援していこうと思う。

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