夏の舞台にて
今月末の7月26日、パリオリンピックが開幕する。2024年は暑さをものともしない熱気がフランス中を覆うことだろう。
例年、夏のイベントはそれなりの盛り上がりを見せるようだが、4年に1度の世界的な行事と重なってしまっては目も足も遠のく可能性があるためか、開催期間をずらして行われるイベントがあるようだ。毎年多くの人々が訪れる南仏のアヴィニョン演劇祭も、今年はオリンピックと被らないように、1週間ほど早い日程が組まれている(INは6月29日~7月21日、OFFは7月3日~21日)。
インターン期間中、私はこの演劇祭のいくつかの演目に足を運んだ。私の場合、ポスターやチラシで何となく面白そうだと思った演目の開演時間や料金を確認し、これくらいの時間や金額だったら観てみるか、と行く・行かないを決めていた。お目当ての劇団や役者さんがいる人だったら、公演表を確認したりするのだろう。けれど、せっかくだから何か観ておこう程度の私にとっては、街中で嫌というほど見かけるポスターやチラシの中から、あの人の話かな、あの本のことかしら、と気になる単語を見つけては観劇候補にしていた(柄本明さんの芝居だけは、ニコと観に行くことになったため、公演表で日程と演目を調べた)。
期間中は、街中の至る所でストリートパフォーマンスなども行われているため、たまたま立ち寄った人や、ゆっくり観劇できる時間がない人がいたとしても、この祭りのかけら程度は気分を味わうことができるだろう。
私が市庁舎前を歩いていたときなどは、突然群衆の中から数名の男女が大声を発しながら飛び出してきて、寸劇を披露してくれた。また、見慣れない楽器を演奏している男性の周囲を子どもが取り囲んで、のんびりと耳を傾けていることもあった。
ストリートでも劇場でも、ハプニングが起こることがある。私は演劇祭期間中、それぞれの場面で遭遇した。
ストリートでは、ファイヤージャグリング(紐がついた缶の中に火を灯し、ぐるぐる回すパフォーマンスだった)をしていた男性の紐が途中で切れ、火つき缶がヒュンッと飛んで行くハプニングが起きた(幸い、缶が飛んだ方向に人はいなかった)。また、劇場では、インターン高校の引率で観に行ったとき面白かったため個人的にも出向いたモリエールの演目で、途中でセリフが飛んだっぽい男性に対して女性がやりにくそうな雰囲気のまま演技を続けていて、座長と思われる大柄な男性が何とか繋いだ、という場面に出くわした。
普段から舞台に立っている人でも緊張するのかな?
今年も演劇祭は盛況だろうか?
続くオリンピックは初めての試みがいくつかあり(セーヌ川での開会式や歴史的建造物での競技開催など)、私も興味津々である。
各国の代表選手が決まり、大舞台で緊張している、あるいはそういった舞台でも緊張しない、それぞれいらっしゃると思う。いずれの選手も、ベストを尽くせますように!もし途中でハプニングが起きたとしても、立て直していけますように!ちなみに、前述のモリエールでは、座長がうまく笑いに持ち込んで事なきを得ていた。
舞台も試合も、途中でやめることはできないからな~。何か予想外のことが起きても、最後まで続けられますように(祈)。