フランス、5月の祝祭日
GW後半、今年の東京は晴天に恵まれている。今朝は早くから幼児のはしゃぐ声が聞こえていた。こどもの日ということで、家族でどこかへ出掛けるのだろう。
こどもの日を設けている国は、100か国弱あるらしい。日程はそれぞれの国で異なり、国際こどもの日である6月1日が最も多く(45か国)、次いで世界こどもの日である11月20日(4か国)となっている。日本は端午の節句である5月5日としているが、前述の2日以外をこどもの日として制定している国が日本を含め43か国あるようなので、とりわけ珍しいことではなさそうだ。
世界で約半数の国がこどもの日を定めている一方、フランスにはこどもの日が存在しない。周囲のフランス人のやり取りを見ていると、大人は相手が幼児でも子ども扱いをしていなかったし、幼児のほうも子ども扱いされることを嫌がる傾向にあった。
例えば、私が留学中ホームステイでお世話になったローラは、孫のマリー(当時5歳くらい)が街中の通りで歩きたくないとほんの少し駄々をこねた際、
「あらまあマリー、あなたはベベ(赤ちゃん)みたいね」
と呆れた感じで言い放った。するとマリーは
「ノン!」
とふくれっ面で否定し、眉を吊り上げたまま、口を真一文字に結んでスタスタと歩き出していた。
また、インターン期間中にホームステイしていたRDP家のマダムは、末娘(当時中学生)が、高校生の姉や兄と同等の門限にして欲しいと申し出た際、
「あなたにはまだその権利はないわ」
とあっさり却下していた。末娘が
「お姉ちゃんたちとそんなに歳が違わないのだから、少しくらい遅くなったっていいじゃない!」
と反発したら、マダムは
「あなたにはまだ早いわ!あなたがその権利を手にするのは高校生になってからよ!」
とまったく譲歩する気配がなかった。
子ども扱いしないとはいえ、放任しているわけでもない。意見には耳を傾けつつ、最終的な判断は大人の役目。フランスの未成年者の大半が、早く成人したいと思っているようなお国柄だから、わざわざこどもの日を制定することもないのだろう。
5月のフランスにはこどもの日もGWもないけれど、年によっては祝祭日が多くなるケースがあり、2024年はそれに当てはまる。
学校や仕事が休みとなる日を順に挙げていくと、
5月1日:メーデー(fete du travail)
5月8日:第二次世界大戦戦勝記念日(victoire du 8mai 1945)
5月9日:昇天祭(l’Ascension)
5月20日:聖霊降臨祭(la Pentecote)の翌月曜日
となっている。
昇天祭と聖霊降臨祭が、それぞれ復活祭の40日後と50日後となる移動祝祭日のため、毎年日程が異なるのだが、今年はどちらも5月中に巡ってくるのだ。しかも、昇天祭が戦勝記念日の翌日に該当したため、連休にもなる。
かつてフランス人の友人から、
「日本は祝日が多くていいね」
と言われたとき、いやいや、フランスでは有休消化率がほぼ100%、ヴァカンス期間も長いし、そちらのほうが羨ましい!と言い返したくなったことがあった。
今年のフランス、5月は祝日が多いですね。5月病にならないようにしてくださいね。
と、あのとき言われたことを思い出して心の中で呟いたけれど、有休消化やヴァカンスでストレス発散・休み慣れしている彼らは、そんな病にはなりそうもないな、とすぐに思い直したのだった。