微笑みの国のチョコ三昧(雑念・煩悩まみれ)

お正月はこたつでミカン、が日本の風物詩であるように、一年中食べられるようになった今でも、ミカン消費量は冬場が圧倒的に多いことだろう。実家は専ら愛媛産で、今年は紅まどんなや真穴みかんが橙黄色を輝かせて鎮座していた。紅まどんなは皮が実にぴたっと張り付いていて、むいていると果汁が滴り落ちてくる非常にジューシーなミカンなので、食べるときはお皿やお手拭きが必須である。真穴みかんは初めて口にしたのだが、こちらも甘くみずみずしく、暖房で乾燥した室内において喉を潤すのに適している。小ぶりでむきやすいから、いわゆる‟TV orange”として海外でも好まれるであろう品種だ。

果物や野菜を食すのであればやっぱり旬の時期がいいかな、と思うのだけれど、チョコレートは夏になっても食欲が落ちない。そのため私の身の回りでは、この百塩茶色の艶やかな舶来品が年中幅を利かせている。
昨年末に元同僚で友人のMさんと会ったとき、タイのお土産としてチョコレートなどをいただいた。私の海外の旅行先はほとんどヨーロッパだが、彼女は欧州のみならずアジアの大陸にも足を伸ばしていて、タイ検定を取得したほど微笑みの国に通じている人である。寡聞な私が最近になって得た知識では、タイのカカオ生産量は世界においてたったの0.02%らしい。Mさんからのタイ土産のチョコレートはベルギーのショコラトリーのものだったが、彼女からは他にも、この希少カカオを使用した日本のチョコ専門店のサブレをいただいた。

そして年が明け、年末年始をタイで過ごしていた兄が帰国し、この連休に家族全員で新年の顔合わせをした。我が兄も微笑みの国の常連で、ゴルフ焼けで顔が真っ黒になっていた。兄は我々にお土産を披露しながら、
「天気が良くてこんなに焼けちゃったから、バンコクで日本人の老夫婦に、現地の人と間違われた」
と笑って話してくれた。
私は兄が出発する前、もし旅行中にカドココアというショコラトリーを見かけたら、ガナッシュやプラリネなどのボンボンショコラをいくつか買ってきて欲しいとお願いしていた。申し訳なかったことに、ショップはぶらりと立ち寄れるような場所にはなかったらしく、兄はわざわざ現地のタクシー運転手さんに頼んで案内してもらったそうなのだが、
「生チョコなので、日本に買って帰るのだったら別のものにした方がいいと思う」
と勧められたそうだ。そんな経緯があり、兄はさほど品質に神経を尖らせずに済むチョコレート各種(板チョコ10枚、ダークとホワイトのトルテ1箱ずつ、そしてミントチョコ1箱)を、30cm四方はある真っ赤な保冷バッグで厳重に(?)保管したうえで、母と私に持ち帰ってきてくれたのである。私はそれらを母ときっちり二等分したので(ミントチョコも半分こ)、今、目の前にはたくさんのチョコが溢れている。

昨年末から年始にかけ、微笑みの国のチョコレート三昧。‟三昧”という言葉の本来の意味を考えると、私の場合は雑念や煩悩にまみれていて、新年早々言ってのけることに気が引けないわけではない。
自分にもたらされた状況に、日々感謝。今年も精進しつつ、まい進して行けますように!

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