プロフィット・紅葉・オ・カナダ(フランス語圏)

先週も書いたけれど、過ごしやすい日が続いて嬉しい。自分の肌感覚では数年前、ひょっとしたらもっと前から、夏が終わると1か月もしないうちに冬が来ていた気がする。サッカーで延長戦まで戦って、脱水前の洗濯物かっていうくらい汗をかいて、ロッカールームに行くまでに汗が引いてきて、ちょっと冷えてきたからシャワーをゆっくり浴びたいなぁなんて思っていたのに、あったのはお湯が出ない冷水シャワーで、いくら汗かいたからってこれは寒い、早く髪を乾かさなきゃ、とドライヤーを点けてみたらこれまたcoolにしかならない、みたいな。クールダウンって、もっと緩やかなものでは(試合のあとは、シャワーを浴びる前にやりますけどね)?
夏、直行、冬。が、ここ数年。
今年は、丸天井の下で冴え冴えとした空気を吸い込みながら闊歩できる頻度が高い気がする。各地の名所では、錦秋がくっきりと腰を据えていることだろう。

春のお花見・秋の紅葉狩りは、足は向かなくとも目が追ってしまう。たけなわな一瞬を捉えたニュースや旅行のパンフレットや絵葉書などが視野に入ると、角膜がピントを合わせ、網膜に焼き付ける。ああ、いいなぁ、行きたいなぁ、でも人混みは嫌だなぁ、で何年も名所には出向いていない。今年はきっと愛でるにも写すにも絶好の天候だと思うのだけれど、コロナ明けでかなり混雑するだろう。
「太陽を心ゆくまで享受してね!」
日光を愛しているといっても過言ではなさそうな、日焼けも人混みも気にしないフランスの友人たちの言葉を思い出す。これ、晴天でも晴れ間がちらっと覗いたくらいの時でも、彼らからよく言われていた。初めて言われたとき、意味が分からなかったので辞書で調べたところ、
profiter:利用する・もうける・つけ込む
と載っていた。これだと何だか裏がある感じだし、そんな意味で言われたわけではないだろうから、‟享受する”と解釈している。
彼らが日本にいたら、こんな気持ちの良い天気なのに出掛けないなんてもったいない!と言われてしまいそうだ。
私が最後に紅葉の名所に足を運んだのはいつのことだったっけ?

最後が思い出せないので、それよりも前のことになるけれど、カナダでの秋のひとときについてご紹介しようと思う。メープル街道の紅葉は目にも写真にも焼き付けたいと思っていたし、ケベック州はフランス語圏ということで、一度は訪れてみたいと思っていたのだ。ただ、最盛期より前だか後だかだったので、旅行パンフレットなどでお馴染みの、紅や黄をふんだんにまとった姿はお目にかかれなかった。

街中で。葉は少しくすんだ彩で、鮮明に印象に残るといった感じではなかったものの、落ち着きがあって街に溶け込んでいた。

ベンチを走るリス。自分の顔ほどもある何か(木の実?果物?)をくわえていた。

‟ぴょんぴょんうさぎ”という名前(意訳ですが)のレストラン。看板の上を飛び跳ねる2匹のうさぎもだけれど、交通標識みたいな影絵うさぎがあしらわれていて、拘りを感じる。撮影当初、restoを休憩処、つまり宿か何かだと勘違いし、民宿かな?と思っていたのだが、あとからレストランの略だと気付いた。つまり、ここはうさぎを食べさせるところだったのか?数年後にうさぎのトラウマを抱えることになるとは……(このサイト内『ある日、女3人ファーム旅(後編)』で書いています)。

宿泊したホテル、シャトー・フロントナック。90年代に母が一度旅行した時に泊まり、非常に気に入ったということだったので、せっかくだからと泊まることにした。90年代はフランス語が聞こえてきて、シックなスタイルの食事とか、ショップでアンモナイトのアクセサリーが売られていたりしたそうだが、このときはすっかりアメリカナイズされ、英語しか聞こえないし、食事もショップもカジュアルだし、シャトーたる外装とのギャップにガッカリした。でも、ベッドメイクの方に、チップに添えて日本の豆菓子とそのお菓子が何なのかをフランス語で書いたメモを置いておいたところ、部屋に戻ったらフランス語でお礼と笑顔マークが書かれたメモが残されていた。たったそれだけのことだけれど、ああ、やっぱりここはフランス語圏なのだ、フランス語が通じるのだ!と、小柄な日本人には大きすぎるベッドの上で飛び跳ねたいくらい感激した(もういい大人だったし、綺麗に整えていただいていたので、羽目は外さないことにした)。

ナイアガラでは、ヘリで上空から3本の滝(幅が一番広いカナダ側のカナダ滝と、アメリカ側のアメリカ滝・ブライダルベール滝)を眺めたり、船でそれぞれの滝にギリギリまで近付いたりした。日本の身近な山や海から、土地の隆起やかつて地続きだった大地から離れた島国であることを理解しているとしても、地球上の大地の形成について、具体的に想像したことはなかった。ここへ来て、この惑星で大地がぶつんと途切れている場所はいくつもあるのだろうけれど、こんなにも間近に見られる場所ってあるのかしら、と驚嘆した。上空からの眺望では、大地が巨人にかじられたりんごのようにえぐれていることが分かる。水の流れがあるから、余計に輪郭が際立つ。写真だと、よくできた地形模型のように見えるかも。船も良かったけれど、個人的には上から見るのがオススメである。

プロフィット・太陽、プロフィット・紅葉!少しでも長く。

Follow me!