フランス手話でご挨拶6~お誘い~
週末、お花見の人たちで街中が賑わっていた。スーパーでも、新たな環境で出会ったと思われる、ちょっとぎこちなく会話する新学生・新社会人が買い出しをしていた。
初対面同士が仲良くなるのに、お花見は恰好のイベントだ。近年はコロナ規制があったり、桜の見ごろが3月中に終わってしまったりと、新年度を迎えても大勢で親睦を深める催しがしづらい状況だった。今年は制限もなく、開花もベストタイミング。ちまたでの盛り上がりを感じる。
円安でコスパは悪いけれど、海外へ移動する人たちも増えてきた。新生活をフランスで迎えたり、パリオリンピックで渡仏する方々もいることだろう。仲良くなったフランス人を何かに誘う機会があるかも知れない。
今回は、お誘いの場面で使用する手話をいくつかご紹介。
「Etes-vous libre aujourd’hui/demain/prochaine semaine/week-end/dans●jours?:今日/明日/来週/週末/●日後/空いてる?」。
右手の人差し指で相手の胸の辺りを差し(vous。tuでも同様)、両手指をL字にした手を、手の甲が相手に向くように喉元でクロスさせ、指はL字のまま掌が見えるようにクロスさせた手を左右前方に開きます(libre)。そのあと、聞きたい日についての手話を付け加えます。
aujourd’hui:人差し指から小指までくっつけ、親指だけ広げたパーの形にした両手を、手の甲を地面に向けて2回ほど上下させます。
demain:親指を立てた右手(いいね!の形)を右頬の横から前へ倒すように1回突き出します。
prochaine semaine:両手をグーにし、左手は胸の前で構え(手は逆ですが、『進撃の巨人』で「心臓を捧げよ」というときのポーズ)、右手で左手の肘を叩きます(semaine)。パーにした右手掌を相手に向け、肩の辺りから前方に突き出します(prochaine。後述のdansやapreも同様で、未来のことを言う場合に使用します)。
week-end:右手の人差し指・中指・薬指を開いて立て(アルファベットWの手話・日本で数字の3を表すときの形)、続いて軽く曲げたグー(アルファベットEの手話・親指の上に他4本が乗っている感じで、5本の指の爪が全部見えているグー)にします。
dan●jours:聞きたい日数の手話(●に該当する部分)をしたのち、右手人差し指を立て、喉元から顎・鼻先を通って前方に突き出すように指を動かします(jour)。dansは前述のprochaineと同様。
「Si nous+●●?/Pourquoi pas+●●?:●●しませんか?」。
これらの手話については、省略形でご紹介します。文章にすると、Si~とかPourquoi pas~となりますが、ニコとの手話では、そのまま●●?と聞いていました。話し言葉で省略したりするように、手話でも意味が通じる場合は省略していたのだと思います。
更に、食事に誘うような場面、例えば「ランチ/ディナーに行かない?」は、「Si nous allions dejeuner/diner?」とか「Pourquoi pas aller au dejeurner/diner?」となりますが、手話ではざっくり「食べる/食事する?:manger/aller au repas?」のように表現していました。ちなみに、‟食べる”と‟食事”のフランス手話は同じ動作になります。
「aller au repas?:食事に行かない?」。
両手の人差し指だけで地面を差し、くるりと回転させるような動きで、掌がお互い内側を向くように両手の人差し指を身体の前方に伸ばし(aller)、くちばしのようにした指(>の形)の親指を他の指にくっつけ、口に入れるようなしぐさをします(repas。mangerも同様)。
「aller boire?:飲みに行かない?」。
allerは前述の通り。boireは、右手の親指だけを立て(いいね!の形)、グラスを傾けるように親指を口元に1回動かします。
「aller au cinema?:映画に行かない?」。
allerは前述の通り。cinemaは、両手をパー(指はくっつけていても開いていてもOK)にして手の甲を相手に向け、胸の前で重ねた手を左右に開いたり閉じたりします(幕が開閉するイメージ)。
「faire du sport?:スポーツしない?」
左手は人差し指だけを立て、掌が地面を向くようにします。その左手の人差し指を右手指で覆い、左手は固定したまま、右手指を左手人差し指から抜くようにスライドさせます(faire)。両手の親指だけを立て(いいね!の形)、げんこつ部分をぶつけながら上下に動かします(sport)。
「OK!/bien sur!/pourquoi pas?:オッケー!/もちろん!/ダメなんてことある(当然OKだよ)?」。
右手の親指を立てます(いいね!の形)。本当は、それぞれの言葉を表現する手話があるのだと思いますが、ニコとの手話では、この形ひとつで済まされていました。
ちなみに「pourquoi pas?」は、先述の通り「~しない?」というお誘い文句として使うこともあれば、乗り気でOKするときの返事としても使われます。
「Je vais reflechir:検討します」。
人差し指で自分の胸を差し(Je)、グーにした右手の人差し指をかぎ爪のように曲げて立て、こめかみの上で小さく円を描くように動かします(reflechir)。頭の中でぐるぐる考えてます~というような表現です。
日本でもフランスでも、新生活を迎える場面において、環境や人間関係がしっくりきて、充実した毎日を送れますように!