フランスの便利グッズ~紙香~
コロナが明けたと思ったら、昨年末はインフルエンザが猛威を振るい、またしてもマスク人口が増えてきた今日この頃。
勤務している会社では空間除菌システム機器を2台配置していて、30分ごとに除菌剤がシューシューと噴霧されるようになっている。この機器は定期的に給排水が必要で、除菌剤を溶かした水のタンクを上部の給水口に持ち上げるのが結構重い。また、下部の排水口から排水するためには、何かしらの上に乗せて機器を傾けなくてはならないため、会社では排水用に折り畳みテーブルを購入した。この機器自体も重量があるので、テーブルに乗せるのもそれなりの力を要する。給排水は毎日ではないものの、もう少しメンテナンスが楽な機器だったら良かったのに、と給排水の対応をしたことがある人はみな感じていた。そのため、コロナ収束によって、この機器の使用頻度が低くなることを期待していたのだが、残念ながら継続使用中である。
私がインターンで滞在していた2004~2005年のフランスでは、H5N1型の鳥インフルエンザを警戒する傾向にあった。ベトナムで原因不明の重症肺炎が流行し、しばらくしてH5N1型の鳥インフルエンザウイルスによるものだと判明したのだ。ベトナムで最初の感染が報告されたのが2004年の1月5日だというから、今からちょうど21年前のことである。かつて植民地だったこともあり、家族がいるので会ってきたとか、旅行で訪れたというベトナムからのフランス入国者が多数いたそうだ。ただ、H5N1型はヒトに感染することは稀だと言われていた(感染すると致死率50%程度だったらしい)。そのため、ニュースなどで取り上げられたものの、コロナ以前のフランス人は滅多なことではマスクなど使用しなかった(コロナでも拒否していた人がいたようだし)から、周囲の人々は普段通りの生活を送っていた。
では、彼らが感染リスクをまったく気にしていないのかと言うと、そういうわけでもなさそうだった。高校の教員や生徒たちからは、食事やサプリで体調管理しているとか、ヨガや乾布摩擦で心身を整えているとかいう話を聞いた。私はある男子生徒から、
「日本人はみんな乾布摩擦をするんだろ?」
と聞かれ、『一休さん』のアニメでも観たの?と(私が乾布摩擦のことを初めて知ったのは、『一休さん』を観た幼児のときだったから)質問に質問で返したくなった。だが、彼が『一休さん』を観ていてもいなくても、まずは日本人がみな乾布摩擦をしているという誤解を解かねば、という気持ちが先に立ち、
「私は肌が弱いからしたことないし、日本人がみんなしているわけではないよ」
と答えたところ、彼はすごく意外だという顔をして、立ち去ってしまった。あとで聞いたところによると、彼は空手を習っていて、日本で修練を積んだフランス人指導者から、日本人は乾布摩擦をすると教わったそうだ。きっと、その指導者がお世話になった道場ではみんな、ということだったのだろう。国を挙げてのことではないのよ~。
今回ご紹介するのは、感染予防対策として、当時私がマリーの友人のカトリーヌ(このサイト内『ある日、女3人ファーム旅』に登場しています)からいただいたもので、世界最古の空気浄化グッズ。‟papier d’armenie(パピエ ダルメニイ)”という紙香で、この紙に効能がある樹脂を含ませているため、焚くと空気が浄化され、呼吸器系の症状が和らぐそうだ。カトリーヌは
「自然のものだから人体に影響がないし、病院でも使用されているのよ」
と教えてくれた。
その名称から、アルメニアの品なのかと思いきや、フランス原産とのこと。元々はアルメニアにあったものを、フランスで改良したのかも知れない。フランス人、改良するのはお手のものだし(クロワッサンとかカトラリーとか)。火を使うという点では取り扱いに注意が必要だけれど、手軽に持ち運べて使用方法も簡単。劇的な効果はないだろうと思いつつ、つい、会社にある空間除菌システム機器と比較してしまう。
自然由来で安心だし、香りもいいし、使いたいときにササッと準備できて後片付けもラク。自宅の机周り程度だったらこれでいいかな~。
※下の写真がパピエ ダルメニイ。クレジットカードくらいの大きさで、1枚を3等分できるように切り込みが入った紙が複数枚綴じてある。使用するときは、3等分の1枚を切り取り、細かく蛇腹に折ったのち、お皿などに乗せて一端に火を点けて焚く。風があると火の粉や灰が舞ってしまうので、使用環境(可燃物の近くとか、屋外、風量がある空調の部屋など)には注意が必要。