フランスで見つけた素敵なもの~自然素材の指輪~
朝晩の新涼に、やっと秋を感じられるようになってきた。昼間はまだ汗ばんだりするけれど、だいぶ過ごしやすくなったのではないだろうか。
肌に衣類がピタッと密着し、ジットリとした湿気を不快に感じる暑苦しいシーズンが終わったあと、あるいは、体中がガチガチに強張っているうえに厚みと重みのある服をまとって身動きが取りづらかった厳寒明け。この、さらりと清々しく心身ともに軽やかになる時期、私は普段着用を躊躇していた服やアクセサリーをここぞとばかりに引っ張り出し、嬉々として身に着けている。
例えば、革靴やゴム引きのコート。お手入れが拙い私は、10%でも雨が予想される日には使用を控えてきた。ゴム引きコートは防水に優れていると言われるけれど、濡れてしまったときのアフターケアが悪いと劣化が早まってしまう。汚れたりして洗濯が必要になった場合、脱水不可なので一般の店舗ではなくゴム引き専門のクリーニング店へ持ち込まなくてはならない。自宅で洗濯する人がいるのかも知れないが、私がやったらかえって生地を傷めてしまいそう。なので、濡れたり汚れたりするような状況に陥るかも知れない日(雨天時とか食事会・飲み会などの日)は避けて着用してきた。そのため、梅雨や台風の時期が長引いたり外食が多い年は数回くらいしか出番がなかったし、年々過ごしやすい時期が短くなっているので、最近は更に使用頻度が低かった。引越しの際、あまり着ていない服は処分したが、ゴム引きコートは気に入っているので取っておいた。これからの季節、じゃんじゃん着用したいところ。晴れ間が続くことを祈りつつ、コートを眺めている。
夏場は控えていたパールのアクセサリーも、今週に入ってから取り入れている。突然気温が上がって汗がにじんでくる可能性もあるので、しばらくは肌に触れるショート丈のものではなく、服の上から重ねるロング丈のものにするつもり。パールは涼し気に見えるものもあるので、汗をかく時期でも気にせず使っていきたいところではあるものの、私は自分のお手入れにまったく自信がないので、危ういことはしない!で通している。
今回ご紹介する指輪は、通年で使用できる自然素材のもの。フランスでのインターン期間中、街中のセレクトショップの窓越しに目に留まった。素材をシンプルに活かしているデザインと柔らかい丸みのあるフォルムに惹かれ、着けたらどんな感じになるのだろう、と試してみたくなり、お店に入った。
この店舗で扱っていた商品の中で私が欲しいと思ったのはこの2つの指輪だけで、他のものにはまったく食指が動かなかった。セレクトショップだから様々なものが集められているとはいえ、気になるものがあるから見てみよう、と入ったお店で、ここまではっきりと他のものに興味が湧かないことってある?と驚いた記憶がある。素材やジャンルの違いがあっても、選んだ人のセンスに統一感を感じたりするものなんじゃないかという先入観を打ち砕く品揃え。他の商品は確か、キャラクターものや機械製品があったような?機械製品は、シンプルとか素敵なデザインとかじゃなく、何に利用するのかも分からないような品だった気が……(無関心だったのでよく覚えていない)。この指輪を扱っていたことが不思議に思えた。
店員さんに頼んで持ってきてもらい、指にはめてみる。細長いほうは人差し指に丁度良いサイズで、丸いほうは親指でもぐるりと回ってしまうほどブカブカだった。両方とも木材をリング状にくり抜き、中央に貝をあしらっている。丁寧に加工されていて、指当たりも滑らかだった。
サイズ感のこともあり、最初は細長いほうだけいただこうかと思っていたのだが、丸いほうはスカーフリングになりそうだし、ゴムを付けたら髪留めとかにもできそうだ、とはたと思いつき、両方いただくことにした。
その後、セレクトショップの前は何度も通り掛かったが、窓越しに気になるような商品は目に留まらず、そのお店は1度だけの利用となったのだった。
この指輪は通年で使えるけれど、私はとりわけ秋に身に着けたくなる。ブラウンカラーがこの季節っぽいからかも知れない。丸いほうに使用されている巻貝は、じっと眺めていると動物の尻尾のようにも見えてきて、使うのが楽しくなってくる。
年齢を重ねたら好きなものだけに囲まれて暮らしたい。洋服だって天候を気にせずお気に入りを身に着けていたい。そのためには、きちんとお手入れして1つ1つ長く大切に使いたい、と思っている。今までだって、そういった意識を持ってケアしてきたつもり……なのだが、ウール製品の虫食いだとか、どんな洗剤を使っても落ちないホワイトデニムジャケットの襟汚れだとか、ああ、気に入っているのにどうして?!と嘆いてきた過去を振り返ると、まだまだ自分のお手入れに自信が持てないままなのである。