スイーツ・ノスタルジー8~夏のデザート~

夏になると、日本でもフランスでも、すいかやメロンを買い求める人が多いことだろう。私は少数派の部類で、まったく食べなくても過ごせる。さすがにカヴァイヨンを訪れたときは、ここのメロンはどんなものなのかと購入してみた。日本のものより小ぶりで、カボチャかと思うほど鮮やかなオレンジ色をした果肉は甘みが濃縮されているもののすっきりとしており、種周りの繊維質がやや少ないように感じた。
すいかもメロンも美味しい、とは思う。食べたくならないだけだ。
小学生の頃、担任の先生が
「すいかが好きな人~」
と問いかけた際、私以外の全員が手を挙げていた。
「嫌いなヤツなんていないよな~」
と男子生徒が発言したときには、なぜか小さくなったものだ。私も、嫌いじゃない。でも、食べたいって思わないってことは、好きってことじゃないんだろう。そんなことを言ったら変なヤツと思われそうで、目立たないようにしていた。
※下の写真のように、南仏のメロンは縦縞。それにしても、1個1.5ユーロって、安すぎ!(すいかは1ユーロしていない……)

果物と同様に、夏場のスイーツも私はあまり食さない傾向にある(アイスクリームは別)。かき氷・ゼリー・葛切り・水羊羹や水まんじゅうなどは、見た目に涼やかで、つるんとした喉越しは食欲が落ちるこの時期でも食べやすい。これらのスイーツが嫌いなわけではないし、口にしたら美味しいと感じる。それでも、食べなくても過ごせる。
これまた小学生の頃、母に連れられ銀座の某カフェでモンブランかき氷なるものを注文したとき、運ばれてきたダチョウの卵大もあろうかというこのかき氷に、当時の私は子どもらしく大はしゃぎした。だが、スプーンですくってみたところ、モンブランクリームはほんの表面に貼り付いていただけで、大半は氷だった。まさに卵の殻のごとく、薄いクリームをむいたらあとは真っ白。卵のように、中心に黄身となるようなシロップなりあんこなりが仕込まれていればまだ納得できたのだろうが、ガチガチに固まったただの氷の塊だった。
(何で、ほとんど味がなく頭がキーンとするだけの代物にお金を払ってるの?しかも、ここは銀座ですよね?)
という心の声は今になって思ったものだが、それ以来、かき氷にはほとんど興味がなくなってしまった。
私がかき氷を最後に食べたのは、もう十数年前のことになる。会社の同僚たちに誘われ、天然氷を使ったかき氷を飯能にまで食べに行った。氷の食感は硬さや鋭さがなくふんわりとしていて、頭がキーンとすることもなく、かつて銀座のカフェで食したものとは雲泥の差があった。それでも、「これから夏の定番スイーツはかき氷だよね!」とはならなかったので、子ども心に与えた影響は大きかったのだろう。

私は夏に思い入れがなくて、それは小さい頃から部活ばっかりであまり遊んでこなかったせいもあるけれど、一番の要因は、夏のデザートを満喫できていないからじゃないかと思ったりする。かき氷が進化しているように、私の嗜好もそのうち変化して、夏の定番を食べたくなるかも知れないけれど。今は季節に関係なく、一年中いろいろな果物やお菓子が楽しめるようになったものの、旬のものは旬の時期に食べるのが最も美味しいと思う。とはいえ、チョコレートは1年中やめられないんだよなぁ……。チョコレートを使用するスイーツが少なくなるということが、夏のデザートの思い出を淡泊にしている理由の一つかも知れない。

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