こむら返りとぽっちゃり猫

一昨日の午前2時、激痛で飛び起きた。それは単に体を起こしたのではなく、神経細胞が電気刺激か何かを受け、反射的に仰臥位から直立したと感じたほどだった。
私は今まで寝ていたのに、どうやって立ち上がったの?床に手をつかなかったような??と、愕然としたのも束の間、あまりの痛みにイタタタタ……と声を上げながらよろめき、壁にもたれかかった。
両足をつっている。左足は足首の甲側、右足はふくらはぎの外側。立っていられないからひとまず座ろうとしゃがんだものの、他の部位までつりそうになったので、壁に手を付きながらまた立ち上がった。
これ、どうやって伸ばせばいいの?
取り敢えず、左足の甲を床につけた状態で立ち膝になり、右足を外側に開いて伸ばしてみた。
ダメだ、全然効いてない!
またまた立ち上がり、痛みが緩和されるポイントを見つけようと左右の足をあれこれ動かしてみたが、まったく楽になる気配がない。しかも、壁から手を離したらバタッと倒れそうなくらい、両足が収縮していた。
壁づたいにそろそろと身体を低くしていき、横になってみる。今度は布団の上でゴロゴロと転がりながら、両足の緊張が緩むポイントを何とか探し出そうとした。
痛みに集中しているから、なかなか治まらないのかしら?
何か別のことを考えてみよう。
ゴロゴロ転がるといえば、ピーターラビットの絵本に登場する‟こねこのトム”が、ねずみのサムエル&アナ・マライア夫妻にねこまき団子にされたときはどんな感じだったのかなぁ?
別の世界の住人になった我が家のニャンズ・メグは女の子だけれど、トムと体型が似ていたなぁ。そういえば、メグの命日は13日だ。
こんなことを考えていたら、左足首が楽になってきた。
よし、あとは右足!
右半身を下にして右足外側のふくらはぎを伸ばすように体重をかけていったところ、やっと痛みが治まってきたのだった。
ありがとう、トム&メグ!

左上:私が幼い頃買ってもらっていたピーターラビットシリーズの4~6巻が収納されていたケースの裏表紙(火事場から持ち出したので汚れているし傷んでいますが、私にとっては大切な品)。トムがお腹を出して草花をかき分けながら歩いています。
右上:こねこのトムのおはなしの表紙。
左下:ひげのサムエルのおはなしの表紙。
右下:ひげのサムエルのおはなしで、トムがねこまき団子にされたときの挿絵。

今日はメグの命日ということもあって、写真を見返してみた。
外から家の中へ入れた当初は細身の体と釣り目だったが、体型も顔立ちもすぐにまるっと成長した。性格も穏やかで、私は甘噛みでさえされた記憶がない。
先述の通り、容姿はトムと似ていたが、性格はというと、トムが好奇心旺盛なのに対し、メグは臆病だった。来客を知らせるベルが鳴ると、すぐさまテレビ裏に避難。伏せもせずじっと座ったまま数時間でも動かないものだから、母は人間のようにエコノミー症候群を心配したくらいだ。
他人には警戒心が強かったけれど、私たち家族だけのときは、しょっちゅうヘソ天で寝っ転がっていた。ときどきビクビクと痙攣しているように手足や口元が動くものだから、体調が優れないのではないかと、私たちは不安になったものだ。我々の心配をよそに、20歳の猫生だったメグは、長寿で表彰された。

トムみたいな我が家のメグ(女の子)。一番下の写真でイカ耳になっているのは、末娘のブランがジ~ッと見つめていたから。

今回、こむら返りによってトムのエピソードやメグのことを思い出したわけだけれど、ハッとしたことがある。トムのお母さんは絵本の中で‟タビタおくさん”と呼ばれているが、彼女の本名は‟タビタ・トゥィチット”。Twitchitという綴りで、Twitchとは痙攣のことらしい。
私が足をつったことによって、トムのことを思い出したのは、偶然ではないのかも知れない……。

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