この切手がステキ!~記念日~
我が家のニャンズは4・5月生まれだ。野良猫を招いたのでおおよその日付になってしまうが、4月初旬から5月初旬に誕生した子たちだ。人間が食するものはあまり食べさせない方がいいと分かってはいるものの、彼らの記念日には生の魚介類などを用意して祝ってきた。
フランスで猫のバースデーを祝う人の話はまだ聞いたことがないが、人の場合、私の周囲のフランス人たちは自宅でパーティーを開いたり、レストランに集まって食事をしたりしていた。
日本だと、例えば私は園児~小学校低学年くらいまでは、誕生日会に招待したりされたりしていた。だが、こういったお祝い会は年々減少傾向にあるようで、私の友人家族をみても、誕生日は家族単位で祝うようになってきているように思う。実際、少し前のデータとなるが、家族とは別に誕生日会をする割合は、就学前で14.5%・就学後は1%~11.2%だったようだ(2009.2月・ベネッセ教育情報サイト集計による)。
パーティーを催さなくても、手紙や電話・メールなどでお祝いを伝えることはできる。日本では、2005年にグリーティング切手が発売されるようになったと記憶しているが、クリスマス色が強く、季節を問わず記念日に使える切手が発売されたのは、2010年の春のグリーティング切手からではないかと思う。
だから2004年~2005年にフランスでこの切手を見たとき、ああ、誰かの記念日をお祝いする習慣が残っているのだなぁ、と心和むとともに少し羨ましくもあった。私は祝日生まれなので、子どもの頃は誕生日会に来てもらえなかったり、日にちを忘れられたりして、淋しい思いをしたことがあった。平成や令和では家族単位であっても、ひと昔前は友達とも祝ったり祝われたりしていたものだから、誰かが来ないとか忘れているといったことに今より敏感だったのだ。子ども心で感覚的に、自分に対する他者の関心度合いと自分の存在意義を結びつけていたのかも知れない。
誰かの記念日に、贈る言葉を綴る。それに添えられるアニバーサリー用の切手。フランスの切手は、切手部分以外のシートの絵柄も一緒に貼っておきたくなる。
自分のことを思ってくれた人がいる。会えなくても、話ができなくても、この切手を貼った手紙が届いたら、それだけで胸いっぱいになりそうだ。