ある日、海外での体調管理
海外で体調不良に陥ったとき、言葉の壁だけでなく、どのような処置をされるのか・いくら支払うことになるのかといったことも不安要素になる。いつ・何が起きるか分からないから、渡航先の地域に日本人もしくは日本語OKの病院があるかどうかや、患者からの評判が分かるようであれば事前に把握しておきたいところだ。
私が長期留学やインターンで渡仏したとき、死亡保障付きの海外旅行保険に加入した。当時、留学保険とかワーホリ保険というものはなかったように記憶している。聞くところによると、現在ワーキングホリデーでフランスへ赴く場合は、ワーホリ保険への加入が必須となっているらしい。入国審査で加入の有無を調べられるということだったので、私がインターン目的で入国しようとした際、スタンプもなくほぼスルー状態だったことは、今となっては貴重な体験だったのかも知れない。
長期留学でもインターンでも、私はすこぶる元気で、フランスの医療機関にお世話になることはなかった。一度だけ、ホームステイ先のRDP家で熱を出したことがあった。フランスだと、発熱時は冷やすという発想のようで、冬場だったにも関わらず「冷たいシャワーを浴びれば?」などと言われたから、余計にぐったりとした気分になった。持参していた解熱剤のお陰で1日で回復したから良かったが、発熱時の対応だけを取っても違いがあるのだから、アレルギー持ちの私などは簡単に外国の医療機関へはかかれないかも知れないな、と考えさせられたのだった。
医療機関にかかる・かからないは別として、現在、ビザを取得してフランスへ滞在するような場合は、保険加入が必要になっている。ワーキングホリデーの場合は先述のワーホリ保険へ入るのだろうし、長期学生ビザの場合は基礎医療保険(セキュリテ・ソシアル)への加入が必要となる。
フランスではかかりつけ医の登録が必要となっていて、そういった選定なども含めると、以前は随分とたやすく長期滞在できていたのかも知れないな、と改めて思う。もちろん、現在の制度の方が健康面でもセキュリティ面でもしっかりしているようだから、長期滞在者の安心材料になっていることだろう。
ただ、フランスの医療制度は日本よりも複雑なので、滞在初期段階でお世話になることになったとしたら、かなり戸惑うことが予想される。例えば、完全分業であること。日本だと、総合病院であれば診察から薬の処方まで1か所で済む。これがフランスだと、まずかかりつけ医に相談してから、薬の処方箋をもらって薬局に行ったり、専門医を紹介してもらってその病院に出向くような流れになる。そのため、やたらと時間が掛かる。また、基本的に救急でなければ診察には予約が必要で、公立は予約が取りづらく、私立は公立よりもマシではあるが医療費が高額であることが多いようだ。一方、救急は予約いらずで、重篤患者でなくとも利用可能であり、夜でも診療してもらえる。ただ、かなり待たされるらしいので、救急なのに?!と憤る人も少なくないと聞く。また、フランスでは救急車を呼ぶと料金が掛かるため、自分で動ける場合は出向いた方が良さそうだ。日本では救急車の出動が無料なのに、具合が悪くても呼ぶのをためらう人が多いというのは、国民性という言葉だけで片付けて良いものか。日本人、具合が悪かったら呼んでいいと思う!
他にも日本とは異なる点として、フランスでは保険に加入していても最初に全額支払わなくてはならないことが挙げられる。留学生などは支出はあれど稼ぎが乏しい(仕送りなどでやりくりしていたらゼロ)わけだから、あとで返金されるとしても最初に全額負担は非常に厳しい。普段から病気や怪我が少なかった私も、長期滞在中はきちんと体調管理しなきゃ、と無茶をしないように(なるべく)過ごしてきた。万が一、手術を伴うような事態に見舞われたら?と考えると、自分がどうなってしまうのか、身体の面でも滞在の面でも不安でしかなかった。何事もなくて良かった……。
自分の体調を知る(管理する)健康診断においても、日本とフランスには異なる点がいくつかある。日本では1年に1度の受診が推奨されているが、フランスでは2年に1度となっているそうだ。オプション項目は無料で、自分で選ぶのではなく、医師が年齢などに応じて決定する。そのオプション項目には、歯科検診(日本だと歯医者は別という感じですが)や、HIV検査(いかにも愛の国って感じですが、欧米だと当たり前だったりするのかな?)が含まれていて、こういう場合のお国柄は知るとちょっと面白い。
さて、私の現在の体調管理は、というと、土曜日に健康診断を受けてきた。昨年より体重がきっちり5kg落ちていたことを知った(私は体重計を持っていない)ときには、喜びより心配が先立ってしまった。ある程度年齢を重ねると、健康面が気掛かりになるって本当だわ……。でもまあ、私の場合は5kg程度だと外見に全く変化が見られないから、やつれるどころか、痩せたようにも見えない(体型が変わらないって、どうなの?!)。採血のとき、久々に気分が悪くなって(かつて、クラクラしたり意識が飛んで車椅子で運ばれたことがある)しばらく寝かせてもらったのは、たぶん暑さのせいだろう(低血圧はいつものこと)。さすがに、胃のX線検査で昨年はなかったポリープが「多発してます」と言われたのには凹んだけど。それにしても、1日経ってもバリウムが排出されていないこの状況が、不安でたまらない!日曜で、病院に電話しても時間外で繋がらないし、ジャストアンサーっていうサイトにチャット相談していたら、最後に「登録して500円払ってください」という表示が出たので、慌てて閉じた。#7119(消防庁の救急相談センター)は、救急車を呼ぶわけじゃないから、相談してもいいかなぁ?具合が悪いところはないんだけど……。もう少し、様子見しようかな(コラッ!)。
※結局、#7119にも相談せず、月曜に健診を受けた病院で腹部レントゲンを撮ってもらったところ、ほぼ排出されているので何もしなくてOKとのこと。白くない場合もあるんだ……(キタナイ話ですみません)。またしても、何事もなくて良かった!