ある日、居住環境と冬場の備え
10年に1度の大寒波到来ということで、先週は窓にカーテンを掛けたり、コルクマットの上に吸湿発熱素材のラグを重ねたりと、室内に防寒対策を施してみた。エアコンの暖房は肌が乾燥して痒みを引き起こしたりするし、部屋全体が暖かくならないので、滅多に使用することがない。冬場は大抵の場合、軽くて暖かい洋服を着込むか、どうしても耐えられないときは電気ストーブを点けていた。その電気ストーブも、肌が脆弱なせいですぐムズムズしてくるし、そんなに近づけていないのに低温やけどを負っていることがあり、ほとんど使用してこなかった。
しかしながら、今年の冬は如何ともしがたい。冷えからくる体調への影響を考えたら、肌の痒みくらいはガマンしよう、と12月に1度だけエアコンを稼働させた。で、電気代の請求書が届いてびっくり!こんなに上がるの?たった1度だよ?!何だか、「これくらいは使ってるだろう」という目分量で請求されたんじゃないかと思ってしまうくらい、高騰していた。夏に異音がした際、フィルター掃除はしたけれど、稼働前にきれいにしておくべきだっただろうか……。
それなら、と電気ストーブを点けてみたら、いつもは赤くなる発熱体が赤くならない!どうやら壊れてしまったようだ。購入してから12年も経つから、そろそろだろうとは思っていたけれど、今年は耐えて欲しかった~!
そんな状況になったのに、1月は現時点でエアコン稼働ゼロ。先ほど体調への影響を考えて、と言っていたのに矛盾するじゃないかと突っ込まれそうだが、エアコン不使用だった場合に電気代がどのくらいになるのか、ちょっとした好奇心が芽生えてしまったのだ。平日の日中は出勤しているから、朝晩だけしのげばいいわけだし。週末は多少難儀するかも知れないけれど、着込めば何とかなる。というわけで、今、かじかむ手でキーボードを叩いている。
フランスに何度か滞在したとき、大抵の家にはエアコンがなかったから、夏も冬もそれなりの対策が必要だった。とはいえ、セントラルヒーティングが整っていたし、私にとって風が出ない暖房設備は肌に優しく、適温であれば冬場は夏よりも過ごしやすかったように思う。加えて、独り暮らしのときの家賃には電気・ガス代が含まれていたため、使用時間を気にしたこともなかった。
ただ、セントラルヒーティングは自分で温度設定ができない(ツマミを回せば若干の上げ下げはできるが、集合住宅だと建物全体の温度が一定に保たれているため、家庭ごとや部屋ごとの設定は不可)ので、ツマミを調節した程度の温度差では物足りない場合、管理人さんに相談しなくてはならない。
かつてパリのステュディオで寒さに耐えられなくなったとき、ベトナム人の管理人さんに交渉したものの、一人の意見だけで設定を変えることはできないと言われ(集合住宅全体のシステムともなれば、ごもっとも……)、手持ちの布製品を片っ端から被って就寝していた。
また、ホームステイ先のヴァイキング家庭において、部屋のセントラルヒーティングが全く暖かくならず、ヘアオイルが凍るほどの気温になったことがある。暖房が機能していないのでメンテナンスしてください、とマダムに訴えた次第だが、自分たちは寒くないからとしばらく放置された。先述のパリのときのように、部屋の温度設定を変えて欲しいと要求しているのだと思われたのかも知れない。何度か要求を伝えメンテナンスしてもらえるまでの期間、私はパリのときと同様に、ありったけの布製品を被って眠ることになった。
今ではフランスにもユニクロがあるから、ヒートテックなどを着こんでいたらもう少しマシだったんじゃないかと思うが、ユニクロのフランス進出は2007年。2004~2005年のインターン期間中はフランスでユニクロ製品を買うことができなかった。それに、ヒートテックは2003年に発売開始だったから、パリに留学していたミレニアム当時は、販売すらされていなかった。当時、こういった防寒インナーを買おうと思ったら、アウトドアショップなどで探すほかなかった。そこでAIGLEなどを覘いてみたりしたのだが、収入のない留学生には高価だったので購入せず、持ち合わせのもので耐えることにしたのである。
セントラルヒーティングが快適な温度であっても、窓からの隙間風は部屋を冷え込ませる。この場合は、学校などで不要な新聞紙を分けてもらい、適当な大きさに丸めて隙間に挟み込んでいた。パリのときはプチプチを窓に貼ってみたりしたのだが、景観上の問題から管理人さんに注意を受けたことがあり(見た目重視……)、見えない範囲での対策に止まった。
この見た目については、建物だけでなく人も気に掛けているようで、フランス人でダウンを着ている人はあまり多くない。特に女性は、体型が悪く見える・子どもっぽいなどの理由から、「どんなに寒くてもダウンは着ない!」と公言している人もいた。私の周囲では、マルティヌが薄手のダウンを着ていたが、彼女は普段からスポーティーでマラソン選手並みの体型なので、着ぶくれとは無縁だった。また、インターン高校の教員の中には、インナーにダウンのベストを着込んでいる人もいたので、見えなければOKなのかも知れない。私自身はというと、丸い体型が更に膨らんで見えるので、フランスではダウンを着なかった(当時持っていなかった)し、日本でも節があるような形のものは着ていない。
着るものは人それぞれだと思うので、フランスでの生活を控えていたり検討されている方々へ、参考までに、3回独り暮らしをしたときの家賃や部屋の設備についてお伝えしようと思う(全てステュディオタイプで、家賃は1か月の金額)。
【ケース1】
滞在時期・場所:2000年9月~10月・南仏
間取り:1K
家賃:確か8000~9000フラン(当時のフランスフランは15円くらいなので、12~13.5万円!)
設備:セントラルヒーティング、照明(縦型のスポットライト式のものとテーブルライト)、入口入って右側にトイレ・シャワー・洗濯機、左側に冷蔵庫・IHコンロ(1口)・卓上オーブン、間仕切りなしで奥の部屋が広く(いわゆる蛸壺型)、右側にベッド、左側に机・本棚・テレビ、突き当りがベランダ(自動開閉シャッター付き)
ポイント:ベランダには簡易テーブルと椅子があり、海が見えるので天気の良いときは食事などをそこで摂っていた。人懐っこいお隣の猫ちゃんが部屋に入ってくることもあった。鍵が開きにくく、猫ちゃんがいるお宅とは別のお隣さんに泣きついて開けてもらったことがある。9月は薄手の長袖・10月は9月の装いに羽織るものをプラスすればOKだったので、暖房は入らず。そのためセントラルヒーティングの効き具合は不明だが、ベランダのシャッターを下ろせば隙間風は入ってこないので、寒さに震えることはなさそう。朝は8時過ぎまで・夕方は16時になると薄暗かったが、照明を点ければ生活には問題ない(日本の照明に慣れていると、もうちょっと明るさが欲しいかも)。
【ケース2】
滞在時期・場所:2000年12月~2001年3月・パリ
間取り:2人部屋で、各部屋1R
家賃:確か3500~5000フラン
設備:セントラルヒーティング、ドアを開けると左に広がる部屋(2人部屋の左側)で、ベッド、机、卓上電気、幅50cmほどの簡易ロッカー(クローゼット代わり?)、ドアの正面に窓。共有スペースの左側にキッチン(電気コンロ2口・冷蔵庫)とシャワー、右側にトイレ。
ポイント:12月~2月はラオス人男性と、3月は別の部屋に移って日本人女性と相部屋。部屋の造りは同じ。シャワー室は鍵が掛かるけれど、男性と相部屋だったときは不在中に使用していた(男性の活動時間が朝早くから夜遅くまでだったので、被ることはなかった)。設備は簡易的で、寝泊りするためだけに用意されたような感じだった。マンション自体が移民の方々向けのものだったようで、語学学校が間借りしていたものと思われる。窓からの隙間風対策は先述の通り。ベッドにはカーペットのような厚手の毛布があるだけだったので、コートやセーター・マフラー・タオルなどを毛布の下(身体側)に掛けて寒さをしのいだ。高さのあるベッド(簡易フレームにマットを引いたもの)だったので、あまり底冷えはしなかったが、アルミシートなどがあればマットの下にでも敷いておくといいかも。部屋の灯りが卓上電気だけだったので朝晩はかなり暗く、細かい作業などは日中でないと難しかったが、窓が大きく外の灯りなども入ってきていたため、ただ過ごすだけなら問題なし。
【ケース3】
滞在期間・場所:2005年6月~8月・南仏
間取り:2階建て1DK
家賃:確か270ユーロ(当時の1ユーロは140円前後なので、4万円弱!)
設備:1・2階ともセントラルヒーティングと間接照明、1階がキッチン(冷蔵庫・電気コンロ2口)とダイニング(2人掛けテーブル・食器・棚)、2階は階段を上って右側の手前がバスルーム(トイレ・バスタブ)、間仕切りなしに続く奥が寝室(ベッド・机・棚・テレビ)
ポイント:ホームステイから独り暮らしに移る際、マリーが知り合いの大家さんと話をつけてくれたため、格安で借りられた。アルバニア人男性が一時帰国している間の間借り。テレビはあったが、男性が違法な手段を用いて視聴していたようなので、一度も使用せず。フランスの独り暮らしでは初のバスタブ物件(サイズはホテルにあるようなものより少し小ぶりだが、低身長の私は足が伸ばせた)で、冬場は温まれる。居住期間が夏だったので暖房の効き具合は不明だが、ミストラル対策で窓の外に木扉があるため、閉めれば隙間風は入らない。7・8月は夜の21時くらいまで外が明るかったので、部屋が暗いと感じることはなかった。
滞在時期がかなり前であることや、その間の物価変動などを考えるとあまり役には立たない情報かも知れないけれど(設備と家賃が比例していないケースもあるので、その辺も……)、何かの参考になれば幸いです。