ある日、動物との触れ合い en France
幼い頃、私はほぼ毎週、母と動物園を訪れていた。
あるとき、祖母と3人で出掛けた際、所用を済ませてから合流することになった母といったん別れ、私と祖母は先に動物園へ向かった。早く早く、と急かしてもたいして変わらない祖母の歩みがもどかしく、私は10mくらい先を走っては祖母の元へ引き返す、を繰り返していた。私は外出するときはいつもこんな感じで、待ちきれない思いを走ることで体現していた(まるでワンコみたい……)。
3人で出掛けたその当時、5歳だった私は、足繫く通っているために動物園までの道のりを覚えていて、祖母を置き去りにして一人で歩を進めてしまった。後ろを振り向き、祖母がついてきていないことを確認し、もう、おばあちゃん早く来ないかな、と引き返そうとしたとき、私はにわかに来た道が分からなくなった。あれ、どうやって戻ればいいんだろう?動物園へはこの道で良かったんだっけ?不安そうにさ迷っていた私の様子を見かねて、花屋(あるいは八百屋だったかも)の前に立っていたおかみさんらしき女性が声を掛けてくれた。
「どうしたの?迷子?お名前は?どこへ行くの?」
私は半ベソになりながら、シホです、祖母とはぐれました、動物園へ行きます、母と待ち合わせしてます、といった内容を拙く伝えた。
「そう、じゃあ、おばちゃんが連れて行ってあげる」
女性は私の手を引き、動物園まで付き添ってくれた。
私が迷子になっている間、母のほうが先に動物園へ到着していたようで、
「シホさんのお母様とお祖母様、シホさんがお待ちです」
という園内放送を聞いて仰天したそうだ。
「おばあちゃんと一緒だと思っていたら、あなたが探しているって聞こえてくるんだもの。それに、大人のほうが迷子みたいで恥ずかしかったわ」
後日、母はそう言って苦笑いしていた。
ちなみに祖母は、私が一人で動物園へ行き、母と合流しているのだろうと思っていたようで、大して心配していなかったところ、母と同じく園内放送を聞き、驚いて駆けつけてきた。
携帯電話もメールもない時代に、短時間で家族と再会できたのは、親身になってくれた女性のおかげである。今になって思うと、女性はお仕事中だっただろうから、警察を呼ぶとか、もっと手間の掛からない方法を選択できたはずである。それなのにわざわざ連れて行っていただき、本当に感謝している。
かつては毎週のように足を運んでいた動物園とも、長らくご無沙汰である。それに、そういった施設にも出向いていない。和歌山のパンダにもそのうち会いに行こうと思っていたけれど、結局叶わず……。
今回は、フランスで触れ合った、動物園&日常の中で出くわしたアニマルたちをご紹介。
リヨンの動物園。象やキリンが広いスペースで生活している。柵も低めなので、間近で見ることができる。


鹿は段差をつけた場所での生活。人を見ると寄って来るのは奈良と同じだな、飛び越えて来たりしないのかしら?と、ちょっと心配(私はかつて奈良の鹿に追いかけ回されたことがある)。


鳥たちの水場もゆったりしていて、ペリカンはゆうゆうと泳いでいた。カモは芝生を散歩中。放し飼いなの?といったくらい、好きに動いていた。


さすがにヒョウとかライオンは四方を囲まれた環境だった。どこか虚ろな表情をしているように思えて、ちょっと切なくなる。


熊は餌をねだっているのか、2本足で立ち、手招きするような格好を頻繁にしていた。

このサイト内、『ある日、女3人ファーム旅』でご紹介したファームで見かけた七面鳥。この子がのちにどうなるかは、いわずもがな……。

どこかに出掛けたときに立ち寄った牧場。出産前後の時期だったようで、お腹の大きい馬や仔馬を見かけた。羊もちらほら。牧羊犬はちょっとお疲れ気味かな?






尾が長い鳥。オナガなのかと思ったら、コンコンと木をつついていたから、キツツキかも知れない。

カモの親子。おちびさんたちが活発に動き回っていた。同じ地区で見かけた他のカモは、均等に並んで水浴びしていたり、首を身体に突っ込んで羽を休めていた。



ラシェル宅のお隣の原っぱに遊びに来るクジャク。どこからやって来るのだろう?

ラシェルの庭には旦那さんのローランドお手製の池があり、大きなカエルがいた。別の日に大小何匹かを見かけたときは、ゲゲゲゲゲゲゲゲグワッグワッグワッと(はなっていなかったけれど)大合唱していた。

オマケは、塀を見上げる黒猫。何かを狙っている?

私の家にはなぜかディズニーの絵本が1冊だけあり、それがバンビだった。私が望んで買ってもらったわけではなかったので、どなたかからの贈り物だったのかも知れない。私は幼い頃の一時期、バンビが大好きで、先述の迷子になった動物園では、必ず鹿のいる場所に立ち寄っていた。また、その動物園には小さい遊具があって、吊られた椅子が機械操作でくるくると回るようになっていた。椅子の両側面には動物の絵が描かれ、鹿もいた。その鹿の絵がバンビそっくりだったので、私はバンビ椅子と呼んでいた。私は絶対バンビ椅子に座りたかったので、空いていなかった場合は後ろに並んでいた子に先を譲り、バンビ椅子が空くまで待っていたものだ。
10年ほど前にこちらを訪れた際、この遊具は残っていたものの、多少椅子の形状が変わっていた。まだ存在していたことに感動した一方、思い出に残っているバンビ椅子がなくなっていて、ちょっとガッカリ。そりゃ、メンテナンスするよねぇ。その後10年も経っているから、現在は更に変化しているかも知れない。
久し振りにまた行ってみようかな?